センター試験参考書「生物基礎」「物理基礎」
センター試験参考書「生物基礎の点数が面白いほどとれる本」「物理基礎の点数が面白いほどとれる本」の表紙イラストを描かせて頂きました。



このシリーズはセンター試験対策本支持率売上No.1になったそうで、私もとても嬉しいです。
受験勉強に最適の教材ですのでぜひご活用下さい!
[2017/06/18 00:00] | 既刊紹介・掲載告知 | page top
男性的?女性的?同時代人によるショパン像の違い
ショパン本人が優美すぎるせいで生前はショパンの曲の優美な部分しか理解されなかった、とリストが著書で書き残していますが、この言葉がショパンの人物像を読み解くキーワードだと思うんですよね。

リストやレンツの著作では何度も女性に例えられ、彼女(サンド)が出来た時はリストやキュスティーヌ等の友人達から総受け妄想をされ、コンサートを開くと音楽評論家から「優しい薔薇色の愛くるしい顔」とピアノだけでなく本人の可愛らしさを絶賛されたショパン。
これらは全てショパン本人が美しすぎて起こった事ですが、周りの動揺に対し、ショパン本人は自分がよく女性の様だと言われる事は認識していて納得もしていたけれど、自分の可愛さや美しさには全くの無自覚無関心でノーリアクションなので、ショパンがそれについてどう思っていたかよく分かりません。
でもショパンと交流した同時代人の証言を見ると、どうやらショパンはしばらく一緒にいると、相手を女性といる気分にさせてしまうという特殊能力の持ち主だと言えると思います。

ショパンがどんな人物だったのかまずは外見のデータをまとめてみます。
ショパンの印象について一番語られるのは「繊細」という言葉です。
ショパンは兵士になれないほど繊細な痩せ型で170cm43〜45kg(当時の平均身長が165cm)。
手は女性の様に小さかったそうです。
指だけでなく体全体が柔らかく、普通の人が出来ないポーズを軽々と披露していました。
サンドによると「女性達はショパンの四肢に惹き付けられた」そうなので、骨格レベルで一般人とは違う手足のすらっとしたスタイルだったのでしょう。
現代で言うと、平均男性よりやや背の高い女性ファッションモデルやバレリーナの様な感じかもしれません。
人を魅了するスタイルでしたがショパン本人は逞しいマッチョに憧れていたので、外見のコンプレックスは「ふくらはぎの膨らみが無い事」でした。
そして最新のアイテムをセンスよく身に付けるファッションリーダーで、動きが静かで上品で全身が洗練されている紳士でした。
声はリストによると、ややこもった含み声だそうです。
顔の印象は、暗めの金髪・ブルーグレーの大きな瞳・細くて高い鷲鼻・小さい口・細い顎・白い肌に薔薇色の頬です。
特に薔薇色の頬は何人もの同時代人が魅了されています。
リストがショパンを瑠璃色の昼顔に例えたのは瞳の色からの連想でしょう。
そして大人になってもずっと天使・妖精とよく言われていました。

普通のイケメンなら探せばいますが、天使で妖精な可愛い30代紳士、というと芸能人レベルでも中々いません。
これがショパンの人物像を想像する難しさにもなっていると思います。

パリではよく女性に例えられたショパンですが、全ての知り合いがショパンを女性的だと思っていたわけではありません。
同時代人でショパンを最も男性的だと見なしていたのは、なんとシューマンです。

シューマンと言えば、現実の音楽家(ショパン・クララ・メンデルスゾーン等)と自分の脳内キャラを一緒くたにして架空の脳内同盟「ダヴィッド同盟」を結成し、同盟員のテーマ曲を作曲して自費出版した、まさに現代の同人活動の様な事をしていた元祖オタクと言えるドイツの音楽家です。
そんなオタクなシューマンが意外にもショパンの事を一番男性的に書き残しているのです。
ショパン本人と沢山交流したレンツやリストの書くショパン像は女性的で驚きに満ちていますが、ショパンの楽譜からイメージされたシューマンによるショパン像は現代人が読んでもあまり違和感がありません。

シューマンはショパンの事を自身の評論で、孤高に戦う騎士の様に描写しています。
ショパンはティトゥスと「銃のかわりに音楽で戦う」と誓った通り、繊細な外見とは対照的に戦うために音楽活動していました。
シューマンはそのエピソードを知らない筈ですが、ショパンの曲からそれを感じ取っていたのです。

その時ショパンは戦う気満々で祖国を飛び出したわけではなく、音楽家として活躍したいのに一人で外国に行くのが怖くて、祖国の音大を首席で卒業したにもかかわらず何か月も地元にとどまり、親友ティトゥスにウイーンまで連れ出してもらっています。
音楽活動開始時の「銃のかわりに音楽で戦う」という勇ましい一面と「一人で外国に行けない」という寂しがり屋さんの一面。
あらゆる面で常にギャップを兼ね備えているのもショパンの魅力です。
シューマンはどちらのエピソードも知らなかったと思いますが、この時まだショパンに会った事の無いシューマンはショパンの楽譜から戦うショパンを感じ取った様です。
ちなみにリストはショパン本人を女性に例える事は多くても、曲からショパンの真意を読み取る事に関してはシューマンと同じく鋭いのが著書から読み取れます。

そこでシューマンとほかの同時代人の違いは何なのか考えると、1つはショパン本人と少ししか会っていない事です。
ショパンとシューマンの関係は、シューマンはショパンの大ファンでしたが、ショパンはシューマンの評論に感謝しながらも脳内同盟には軽く引いているという感じです。
でもシューマンはショパン大好きにもかかわらずドイツに引き蘢っていたので、2人の交流はショパンがドイツのシューマンに会いに行って発生しているのです。

もしシューマンがショパンと頻繁に交流していたら…シューマンに変化が起こっていたかどうかが気になります。
ショパンには、しばらく一緒にいると相手を女性といる気分にさせてしまう特殊能力があります(本人無自覚)。
シューマンもショパンの可愛さに魅了されてだんだん女性に思えてきたりしたのだろうか!?
もしそうなっていたらシューマンの音楽評論は随分違うものになっていたかもしれません。


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同時代人によるショパン像の描写の違いについて、レンツの「パリのヴィルトゥオーゾたち」と読み比べると興味深いです。

ちなみにシューマンの脳内同盟について、それぞれの反応はというと、
ショパン…あれは音楽ではない
メンデルスゾーン…特に触れない
リスト…いい曲だから自分のコンサートで弾いてあげるよ
クララ…ダヴィッド同盟って素敵!
[2017/06/11 00:00] | 音楽家語り | page top
ショパンとリストのおすすめ入門書
ショパンとリストについて検索しようとすると「合鍵」が表示される程、2人の関係が注目される様になってきました。
ショパンとリストについてもっと詳しく知りたい!何か専門書を読んでみたいけどどの本から読めばいいの?と思っている方もいらっしゃると思います。
初めて読む伝記本として最もおすすめなのが「パリのヴィルトゥオーゾたち」です。


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昨年改訂版が出た事に気付き、amazonでは旧版よりページ数が増えていたので出版社に問い合わせてみたら、ページ数は変更無く、誤植が訂正されたり注釈が増えたとの事でした。

伝記本や専門書は1人の人物について後世で書かれているものが多いです。
それに対してこの本の特徴は、
・ショパンとリストと実際にパリで交流してピアノを習ったレンツという同時代人が書いている事
・ショパンとリストの生き生きとしたセリフや仕草が記録されている事
・ショパンとリストの絶妙な人間関係が読み取れる事
にあります。

そしてなんといっても内容が面白いのです。
ショパンとリストの人間的な魅力が凄く伝わってきます。
ショパンとリストがお互いを理解し合った以心伝心の関係に見えるエピソードや、ショパンがリストについて嬉しげに話す事もあれば、レンツがリストの話をした途端にショパンがむうっとしたりと、予測不可能な揺れ動くショパンの心境が興味深いです。
著者レンツはかなりのチャレンジャーで、ショパンとリストという二大芸術家の前で大胆な発言や行動をしたり、失言した!と焦りながらも、2人に気に入られて交流を深めていくのが凄いし羨ましいです。

リストは見た目はクールながらも情熱と知性の塊で、スーパースターにも関わらず一市民のレンツに親切で寛大。
でも生まれながらのイケメンでヨーロパ1の天才として生きてきた人にしか出来ない雰囲気が、セリフや行動から滲み出ているのが見て取れます。
良い意味での無自覚ナルシストという感じです。
リストの母が、リストが新しい曲に感動すると動揺して疲れてしまう、と心配する微笑ましい様子から、リストが一人っ子として大事に育てられてるのが伝わってきます。

ショパンと言えば現代ではポーランドを代表する偉人ですが、同時代人の記録を見ると、あまりにも女性扱いされている事に驚かされます。

レンツはショパンに初めて会った時、ショパンの愛嬌に驚く。

次第にレンツ「ショパンはどんな代償を払っても喜ばせたい女性」に思えてくる。

終盤のレンツ「ショパンはリストの対等な妻」。

何故、「喜ばせたい友人」「対等な友」と書かなかったのか。
何故、何度もショパンを女性に例えるのか!

レンツがショパンを女性に例えたりリスショパ夫婦妄想をするのを見ると、レンツって腐男子!?と思いたくなりますが、多分そうではありません。
これは一般人のレンツを腐男子化させる程ショパンが可愛かった事を意味しているのでしょう。

ショパンが可愛すぎるせいで腐男子化してしまった人はレンツだけではありません。
リストもその一人です。
リストと言えば女性との噂が絶えないモテ男。
普段は決して腐男子ではない男の中の男であるリスト様が、ショパンがサンドと付き合う事になった時、サンドの激しすぎる愛でショパンが壊されてしまうのを危惧してその妄想を美しく官能的な文章で、著書「ショパン」に書き残しています。
実はショパンがサンドと付き合う事になった時、ほかの友人たちもショパン総受け妄想を書き残しています。
誰一人ショパンが男なのにという疑問を呈さず、当然の様にショパンを総受け扱いしている様子は、現代人の理解を超えます。
ショパン…一体どれだけ可愛かったのか…。

話戻って、ほかにもレンツはショパンを尊敬しながらも、パリジャンか!女々しい!と心の中でツッコミまくりです。
そしてショパンのあらゆる仕草と表情の美しさに見とれています。
ショパンがマイアベーアにマジ切れした時は激昂した顔の美しさに見とれ、ショパンがサンドの前でうろたえるのを見た時は「ショパンがひらひら舞っていた」と書いています。
30男のうろたえる姿がこんなに美しく描写される事があるでしょうか!
ショパンのうろたえる姿はよっぽど軽やかで美しかったのだろうと思います。
ショパンがサンドの前で威厳が無い事をリストとレンツは「可哀想」と言っているのですが、ショパンは守られる側が性に合うタイプだと思うので、ショパン自身はその状態を嘆いてなさそうだと思います。

ショパンのリストに対する名台詞「リストはどこにでも爪跡を残すんだから」はこの本が元です。
リストは繊細な花びらに触れる様にショパンに接してきたのに、ショパンはリストの言動を爪跡として感じていたからこそ出たセリフだと思います。
リストのどんな言動がショパンにとって爪跡だったのか気になりますね。
ショパンのマッチョ好きがレンツに知られていたというのもこの本からの発見です。
「僕のショパン」でこの本は情報源として大変役立ちました。
2巻にレンツの回が収録されています。おまけページにもレンツネタを描いています。
史実のセリフだけでなく、リストの視線の投げ掛け方やショパンのリアクションの仕方等、仕草や表情もレンツの書き残した情報をふんだんに盛り込んで、よりリアルにショパンとリストを描き出そうと試みました。

「パリのヴィルトゥオーゾたち」には興味深いエピソードのほかに、リストが書いたショパンの演奏会評や、レンツがショパンやリストに習ったり議論した楽譜の譜面なども収録されています。
19世紀のパリの社会や人々の様子、当時のフランス・ドイツ・イギリスの違い等も感じ取れます。
ショパンとリストに関する読みやすい専門書として、そしてリストの格好良さとショパンの可愛さにレンツと一緒にドキドキしながら19世紀パリの音楽界を体験できる本として、「パリのヴィルトゥオーゾたち」はおすすめです。
[2017/06/04 00:00] | 音楽家語り | page top
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