僕のショパン第16話「9歳差の恋」

クララとシューマンの恋愛というよりも、クララの音楽家としての葛藤がメインかもです。
クララはリストの性格にも演奏にも、感動したり複雑な思いを抱いたり…。
リストの演奏を聴いて泣いた理由はほかにはびっくりしたからという解釈もあるそうですが、私は「悔しかったから」じゃないかと思いました。
シューマンも幼いクララを見て、「いつかクララの虚栄心が自尊心に変わってくれれば」と書いている事もあり、かなりの負けず嫌いだったのではないかと。
クララはコンサートで各地をまわる様になってからはシューマン宛の手紙で、カーテンコールで何回拍手を浴びた!という事を報告したりもしてます。
無名時代のショパンの曲に挑戦したり、リストの超絶技巧練習曲の第二稿を練習したり、ベトベンのハンマークラヴィーアを演奏したり、精力的です。
リストにパガニーニによる超絶技巧練習曲を献呈されたクララはどう思ったんだろう…。
そしてクララは「ブラームスは後世に残る」と言ったそうだけど、リストが亡くなった知らせを聞いた時は「リストは消える」と書いたらしい。
70近くになってまだ言うか!と思いました。年を重ねても逞しかったみたいですね。
そんなクララがピアノが弾けないシューマンの曲を自分が広めるんだ!と健気に頑張る姿を想像すると、萌え…いや感動です。
シューマンとクララのファーストキスは実際は別の場所だけど漫画の流れ上変わって、シューマンが階段を上ってキスする、という所は史実と同じです。
帰り際に衝動的にキスしたっぽい。
シューマンがクララとの未来の結婚式を妄想しながら創った曲「ダヴィッド同盟舞曲集」の4曲目には「辛抱しきれず」という題の曲があるのも受けました(笑)。
でもシューマンはクララと結婚するまではちゃんと辛抱して純愛を貫いたみたいです(笑)。
シューマンとクララの素敵なエピソードは「真実なる女性 クララ・シューマン」という本で知りました。
今は絶版だけど長い間発行されてて、増刷の度に装丁を変えてたのかな(だとしたら凄い)、私が持ってるのは8刷の絵の無い緑の箱です。
漫画でもちらっと描いたけどショパンらがじゃれあってるのを見たクララがときめいたエピソードもこの本だったかも。
それを見て、頭をよぎってしまった…クララには腐女子要素があったのではと。
妄想オタクのシューマンの脳内キャラを唯一絶賛してたクララ。
もしクララにオタク要素があったなら、それに魅力を感じたのも納得です。
腐女子まではいかずとも、いつの時代もじゃれあう美青年にときめく乙女心は変わらないですね。
「ローベルト クラーラ シューマン愛の手紙」も良かったのですが古書店で見つけられず、まだ入手出来ていません…。

リストの冒頭の批判に対する考えも史実です。心の広い大人な意見ですよね…。
でもショパンのコンサート評を書いた時、その中でリストは「ショパンは閉じ籠ってたから中傷にさらされずにすんだ」という書き方をしてます。
それを見てやっぱり中傷されるのは辛かったんだなと感じました。
目立つせいで色んな人からライバル心を向けられますしね…。
ショパンがどうして殆どピアノ曲しか創らない音楽家になったのかという事も大事なテーマなので徐々に描いていますが、今回も少し含みました。
音楽で成功したいという個人的な目標と敗戦国である祖国を背負っていたから、頂点になれない=負け、は許されない(ショパンは自分に厳しかったので)。
もしオペラ作家で頂点になれそうなら創ったと思うし、ピアニストとして力強く大衆を熱狂されられればコンサートにももっと出たかも知れない。
流行りの壮大なオペラやオケは入る隙が無い、当時それらに劣るとされたピアノの作曲家として居場所を見つけようとしたんじゃないかなと思いました。
ショパンの曲といえば深みがあって独創的。若い頃から独創性に富んでいるけど、内省的でない技巧を凝らした派手な曲もあります。
どこまで悩んでいたかは分からないけど、どんな創作活動をすれば「自分らしさ」と「ピアノという楽器の可能性」を極める事が出来るのか、それで成功すればピアノがオペラやオケに負けない芸術になるのではないとか、という思いはあったんじゃないかなと。
今回の話ではこのへんまでですね…描くの難しいですが成功する所に向けてちゃんと描いていけたらいいな…。

17話はメンデルスゾーンの姉ファニーと妻セシルが出て来ます。
音楽家として表舞台で活躍したクララと私的な範囲で音楽を楽しんだファニー。
才能がありながら全く別の道を歩んだ2人。
2人の音楽家としての性質の違いを描きました。
あとは、実は苦労知らずのお坊ちゃまなんかじゃない、メンデルスゾーン家の苦悩です。
[2011/04/01 00:00] | 僕のショパン紹介 | page top
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