ショパンに萌え上がらなかった人々〜驚異の免疫力
…それはショパンのポーランド時代からの友人達です。

注目すべきは彼らがショパンの可愛さに免疫があるという事です。
ショパンの事を妖精扱いも女性扱いもせず、普通に男友達として接しているのです。
少年時代から一緒にいたから当然かもしれませんが、パリでショパンと出会った人達がショパンのあらゆる言動に見とれていたのと比較すると、これは大きな違いだと思いました。

ショパンは人前では人好きのする愛嬌と自分の内面には触れさせないつれなさのギャップで人々を魅了していました(ショパンが無理をしていたのは上流階級のルールに合わせる事であり、ショパンの愛される性格は演技ではなく天然です)。
それに対して祖国の友人宛の手紙ではショパンのツンデレの振り幅が大きくなっており、激しいツン状態と思いっきりデレる様子が見られます。

ショパンの逸話を知って、ショパンの人物像に益々魅力を感じたり、ショパンが愛されキャラだと感じる人は結構いらっしゃると思います。
ショパンのツンデレが何故可愛い印象を与えるのか、書簡や伝記を読んで私は気付きました。
それは、ショパンがツン状態に陥る理由は大抵「寂しさ」が原因だからです。
なのでショパンのツン状態は攻撃性ではなく愛おしい印象を読み手に与えています。
可愛いツンデレは二次元にしか存在しないと言われていますが、ショパンの奇跡は音楽の才能だけでなく、三次元で可愛いツンデレを体現していた事も挙げられると思います。

10代の頃によく見られるショパンの友人宛の手紙は、冒頭は激しいツン状態で始まり、徐々にそれが寂しさで取り乱したせいだと分かり、最後には思い切りデレて友情を表現しているもの。
ああ、自分の事こんなに思ってくれるほど寂しかったんだね、と冒頭の罵りが帳消しになるほどの愛おしい読後感になっています。

ショパンのポーランド時代の書簡・友人達の詳しいプロフィールも収録
そして20代以降のユリアン宛の手紙でよく見られるのは、連続するツン状態からの不意打ちのデレの一文です。
色々使いっパシリを頼むのと同じテンションでデレの一文が書かれているので、結局寂しいの!?とクスッと笑える憎めない印象に仕上がっています。
どれも可愛く見せよう等という意図が全く無く、素直さが可愛さになっているが特徴です。

パリで出会った人々はショパンのよそいきのお澄まし状態のちょっとした仕草や表情に萌え上がっていましたが、もしその人達がショパンが書いたポーランド宛のデレッデレの手紙を見たら、萌え死にしてしまいそうです(笑)。
そんなデレッデレの手紙を見ても平静を保っていたポーランド時代からの友人達の、ショパンの可愛さに対する免疫力は相当なものだと思いました。

ショパンは少年時代、普段から友人とじゃれあっていた様で、ティトゥスの家に遊びに行く時、じゃれあうのを楽しみにしているという手紙があります。
このような友達付き合いはショパンと友人達独特のもので、パリには無く、だからポーランドの友人達はショパンのデレに慣れっこだったのかもしれませんね。


ショパンは自分の事をあまり人に話さず、砂糖をまぶした牡蠣の様に閉じ籠っていると評されていましたが、寂しさには素直だと伝記を読んで感じました。
「ピアノを弾いてる間側にいて欲しい」と言って帰ろうとする友人を引き止めたり、サンドのルクレチア・フロリアニの朗読会で自分が小説のモデルにされた事を気付いてない振りをしながらも、「一緒にいてほしい」とドラクロワに言ってその晩一緒に過ごしてもらったり。

ショパンは「リストは数千の聴衆を前に弾くけれど、私はたった一人のために弾くことすら滅多にありません」と言っているので、「ピアノを弾いてる間側にいて欲しい」とショパンに引き止められた人は自分が特別だと感じて嬉しくなったと思います。
寂しさに素直なショパンの性格はとても可愛い印象ですね。

ちなみにドラクロワはリストやレンツと違ってショパンにソフトな萌え方をしていた様です。
ショパン(30代後半)は無邪気だなあ、と眺めてほっこりしている様子がドラクロワの日記に残っています。

それから普段優柔不断なショパンが行動力を発揮する時も寂しさが原因になっているかもしれないと気付きました。
寂しさMAXの時ショパンは大胆行動に出ています。
ご興味のある方はぜひ、ショパンの寂しさと行動力が比例している事を伝記本を見ながら確かめてみて下さい。
[2017/07/30 00:00] | 音楽家語り | page top
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